
バガン
Bagan
ミャンマー中部のエーヤワディー川西岸に広がる古都。9〜13世紀に栄えたパガン朝が建立した数千基の仏教寺院・パゴダが広大な平原に点在し、2019年にユネスコ世界遺産に登録された。夜明け前に飛び立つ熱気球から見渡す遺跡群の景観は「一生に一度の絶景」として世界的に知られる。2021年の軍事クーデター以降は渡航難度と安全上の注意が増しており、最新の現地情報の収集が不可欠。
ひと目でわかる、このスポットの性格
気球×遺跡群の絶景ポテンシャルは★5級だが、政情不安(危険レベル2)・外貨規制・カード使用不可という三重の壁があり現時点では旅慣れた上級者向け。情勢が安定した際には一気に世界トップクラスの体験地になる
知名度穴場 ↔ 定番人気
旅の難易度初心者OK ↔ 旅慣れ向き
費用感リーズナブル ↔ 高め
アクセス行きやすい ↔ 遠い
周遊での楽しさ単独1日 ↔ 1週間周遊向き
※ スコアは訪問者数・アクセス所要時間・物価水準などの公開データをもとにした編集部の評価です。実際の体験は個人の旅慣れ度や訪問時期によって変わります。
レベル2:不要不急の渡航はやめてください
出典: 外務省 海外安全ホームページ(ミャンマー)https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_018.html / 取得日: 2026-07-15(外務省の危険情報レベル0〜4基準)
バガンが属するマンダレー地域は外務省危険レベル2(不要不急の渡航は止めてください)。同地域内のモーゴック・スィンクー・ガンゾ地区はレベル3。バガン(ニャウンウー郡)はレベル3対象外だが近年マンダレー市近郊にも戦闘が波及しており状況は流動的。シャン州北部との境界付近や遠隔地はさらに危険度が高い。渡航前に必ず外務省の最新情報を確認のこと。/参考: 外務省の国全体最新レベル情報=外務省: 危険情報発出中(地域により異なる。最高レベルを代表値として採用。詳細は出典参照)(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2025T116.html)/外務省発表日: 2025-12-16(確認日: 2026-07-15)
7日間の旅の組み立て
バガンだけで1週間の旅は完結しません。ここを軸に、周辺をどう組み合わせて7日間のプランに仕立てるかが計画の要です。
拠点の街
ニャウンウー(バガン中心部)
バガン遺跡群の玄関口で、空港・バスターミナル・市場・ゲストハウス街が集中。旧バガン(寺院密集エリア)へはe-bikeや馬車で10〜20分。食事・宿・ツアー手配のすべてがここで完結するため、バガン滞在中の実質的な生活拠点となる。
モデルプラン(7日間)
1日目:ヤンゴン着・シュエダゴォン・パゴダ観光→2日目:国内線でニャウンウーへ移動・バガン初日(アーナンダー寺院・シュエジゴン・夕暮れ遺跡)→3日目:バガン2日目(早朝サンライズ+e-bikeで郊外寺院巡り)→4日目:ポパ山day trip(往復タクシー)→5日目:気球フライト(10〜4月のみ)または自由時間後、国内線でマンダレーへ→6日目:マンダレー観光(王宮跡・ウーベイン橋・マンダレーヒル)→7日目:マンダレー発、ヤンゴン経由で帰国。
月別の気温・降水量
ベストシーズン: 11月・12月・1月・2月・3月(11月〜2月の乾季が最も観光しやすい。気球フライトのメインシーズンは10月〜4月で、乾季の澄んだ空気と朝霧のコントラストが映えるのは12〜1月。4月は最高気温40℃超の酷暑、6〜9月はモンスーン期で雨が多い。1月の朝晩は13〜15℃まで冷え込むため薄手の防寒具も持参を。)
持ち物チェックリスト
日焼け止め・帽子・サングラス
バガンの平原は遮蔽物が少なく日差しが非常に強い。e-bikeで移動中の日焼けは想定以上で、乾季でも日中は35〜40℃になる。SPF50以上推奨。
薄手の長袖・スカーフ(またはロンジー)
寺院・パゴダはほぼ全施設で肩・膝を隠す服装規定がある。モスリン素材など軽い長袖が暑さ対策と服装規定の両方に対応できる。11〜1月の朝晩は防寒用としても機能する。
脱ぎ履きしやすいサンダル
仏教施設は裸足での入場が原則。日中の砂地・石畳は非常に高温になるため、歩きながら素足になれるサンダルが必須。靴下で代用しようとすると砂で汚れる。
現金(米ドル紙幣+チャット両方)
バガンではVISA・Mastercardがほぼ使えずATMも機能しないことが多い。米ドルは折り目・汚れのない新品に近い紙幣のみ受け取り可能な場合があるため、日本国内で両替した綺麗な紙幣を準備しておくこと。
訪問先タイプ別の詳しい持ち物は世界遺産旅行の持ち物チェックリストでも整理しています。
モデルコース
- 1
05:00
シュエサンドー・パゴダで日の出を鑑賞
バガン随一の日の出スポット。5段テラスの頂上から霧に浮かぶ無数のパゴダのシルエットと朝日のコントラストが望める。観光客が戻り5時前から混雑するため、早めに陣取りを。乾季の明け方は冷え込むため上着を持参。
- 2
08:00
e-bikeでアーナンダー寺院・シュエジゴン・パゴダを巡る
アーナンダー寺院(11〜12世紀・バガン最美の白亜寺院)は内部に高さ約10mの4体の立像仏を安置。その後e-bikeで北上し、バガン最重要の聖地シュエジゴン・パゴダへ。金色の仏塔が朝の光に映える参拝を。両施設とも裸足・肩膝を隠した服装で。
- 3
12:00
ニャウンウー市場でランチ
地元の人が行き交う生鮮市場に付属する食堂街でミャンマー料理を体験。モヒンガー(米麺の魚スープ)や豆腐サラダ、揚げ物などが1食200〜500チャット(15〜40円)程度で食べられる。外国人旅行者にも居心地よいシンプルな食堂がある。
- 4
14:00
ティーロミンロー寺院・ダマヤンジー寺院を訪問
ティーロミンロー(13世紀・複数の仏壇と精緻な浮き彫りが見事)とダマヤンジー(バガン最大規模の未完の寺院・「呪われた寺院」と呼ばれ独特の雰囲気がある)を連続して見学。外観撮影も映える二大建造物。
- 5
17:30
ブーレッディー遺跡周辺で日没を鑑賞
バガン随一のサンセットスポット。夕暮れ時はパゴダのシルエットがオレンジ色に染まり、気球運航期間中(10〜4月)は上空の気球も風景に加わる。日没20〜30分前には到着しておくこと。
日本からのアクセス
日本から現地まで
日本からの直行便はなく、バンコク(BKK)・シンガポール(SIN)・クアラルンプール(KUL)などで乗り継ぎヤンゴン(RGN)へ約8〜10時間。ヤンゴンからバガン(ニャウンウー空港・NYU)への国内線が約1時間20分(MAI・Air KBZ等が1日数便運航)。トランジット待ちを含む総移動時間は概ね14〜18時間程度が目安。国内線は情勢・季節により運航スケジュールが変動するため、渡航直前の最新確認が必須。
現地での行き方
ニャウンウー空港からタクシーで旧バガンまで約5分・ニューバガンまで約10分(5,000〜15,000チャット目安)。現地移動の主役は1日レンタルのe-bike(電動アシスト自転車、6,000〜8,000チャット/日)。外国人はバガンでのモーターサイクル自走が禁止されているためe-bikeが実質的な自力移動手段。馬車チャーター(1日20,000〜25,000チャット)・タクシーチャーター(半日$20〜25)も利用可能。ヤンゴンからは夜行高速バス(約10時間・片道2,000〜3,000円)も運行。
入場料の目安
30000 MMK(目安 約2,300円) / 事前予約不要
バガン古代文化地域への外国人入場料。2023年10月に25,000チャットから30,000チャットに値上げ(3日間有効)。支払いは現地チャットまたは米ドル($20相当)が可能。空港・主要チェックポイントで徴収されることが多く、受け取ったレシート(チケット)は3日間携帯が必要。料金は今後も改定される可能性あり。
最終確認日: 2026-07-15
入場料・運賃・所要時間は、各運営者の公式発表と現地相場をもとにした目安です。改定されることがあるため、予約前に公式サイトで最新の料金をご確認ください。
現地での移動手段
公共交通機関
e-bike(電動アシスト自転車)レンタル
ニャウンウー市内の専門レンタル店(市場周辺・空港近く・各宿泊施設)で借りられる。1日貸し出しが基本で、パスポートのコピーを求められることが多い。充電式のため長距離走行時は電池残量を確認しながら移動。外国人のモーターサイクル自走は禁止されているため、e-bikeが現地自己移動の事実上の主役。
運賃目安: 1日 6,000〜8,000チャット(約460〜620円)
砂道・赤土道は転倒リスクあり。速度は控えめに走行。宿泊先経由で手配すると料金確認・トラブル対処がしやすい。
馬車(ホースカート)チャーター
旧バガン・ニャウンウー周辺に馬主が多く待機。乗る前に行き先・時間・料金を交渉で確定させる。英語が通じにくいため、地図を使った指差し確認が有効。ホテル手配なら料金相場の確認もしやすい。
運賃目安: 半日 15,000〜20,000チャット(約1,150〜1,540円)、1日 20,000〜25,000チャット(約1,540〜1,920円)
バガン固有の情緒ある移動手段。e-bikeが苦手な方・年配者にも好評。遺跡間のダート道でも問題なく移動できる。
タクシー
ニャウンウー空港・バスターミナルにタクシーが待機。流しのタクシーは少ないため、宿泊施設のスタッフに手配を依頼するのが最も確実で料金も事前確定しやすい。
運賃目安: 空港〜旧バガン 5,000〜10,000チャット(約390〜770円)。半日チャーター $20〜25(約3,000〜3,700円)、1日チャーター $35〜40(約5,200〜6,000円)目安
バガンではGrab等の配車アプリは2026年現在利用不可(Grabは2021年にミャンマーから撤退)。料金は必ず乗車前に交渉で確定させること。ドル建て・チャット建てどちらでも交渉可能。(配車アプリの状況は流動的なため渡航前に再確認を)
現地での注意事項
政情不安と危険レベル2が継続中
2021年2月の軍事クーデター後、民主派勢力と国軍の衝突がミャンマー全土で断続的に発生。バガン周辺(マンダレー地域)は外務省危険レベル2で、情報収集と避難計画を十分立てた上での渡航が求められる。渡航前・滞在中も外務省・大使館の最新情報を随時確認すること。
国際カード・ATMがほぼ使えない
2021年以降ミャンマーではVISA・Mastercardによる決済がほぼ機能停止。バガンのATMも外国カード非対応が多い。現金(チャット・米ドル)を出発前に十分用意することが不可欠。米ドルは折り目・書き込みのない綺麗な紙幣限定で受け取られることがあるため注意。
服装規定の徹底(肩・膝を隠す+裸足)
仏教寺院・パゴダは例外なく肩と膝を隠した服装での入場が必要。また境内は裸足での入場が原則で、日中の石畳・砂地は素足には高温。脱ぎ履きしやすいサンダルを必ず携帯すること。
e-bike走行時の砂道・転倒リスク
バガンの寺院間の多くは未舗装の赤土・砂道。乾季には砂が深く積もり転倒しやすい。外国人はモーターサイクルの自走が禁止されており、e-bikeが主な自力移動手段だが、運転に自信がなければ馬車かタクシーを選ぶこと。
気球ツアーは天候により当日キャンセルあり
熱気球フライトは風速・視界等の気象条件によって当日直前キャンセルが発生することがある。払い戻しポリシーは会社によって異なるため、予約前に必ず確認を。フライトは夜明け前5時頃の集合が標準で、ホテルから現地への移動手段も事前に確保しておくこと。
周辺スポット
ポパ山(タウン・カラット)
バガンから約58km(車で約1時間30分)
標高1,518mの休火山の頂上にある岩柱(タウン・カラット)に637段の階段で登れる寺院群。ミャンマーの精霊信仰「ナッ」の聖地で地元の崇拝が厚く、山上からの眺望も素晴らしい。途中のヤシ酒(トディ)農園見学も人気の立ち寄りポイント。バガンからの日帰りday tripとして定番コース。
行き方: バガンから観光タクシーまたはツアー車のチャーターが一般的。公共バスも運行しているが本数が少なく、ツアー込みの利用が現実的。
運賃目安: チャータータクシー往復 $30〜50(約4,500〜7,500円)目安
マンダレー
バガンから約288km(国内線約30〜40分、バス約5〜6時間)
ミャンマー最後の王朝の首都。王宮跡・マンダレーヒル・世界最長の木製橋ウーベイン橋(夕暮れ時が絶景)など見どころが豊富。バガンとセットで7日間周遊に組み込む旅行者が多い定番観光都市。
行き方: 国内線(Air KBZ・MAI等)で約30〜40分。長距離バスは約5〜6時間(夜行もあり)。
運賃目安: 国内線片道 $30〜60(約4,500〜9,000円)目安
旅の手配
行くと決めたら、現地での動き方に合わせて早めに済ませておきたい手配をまとめました。
通信・eSIM
現地用のeSIMはアプリだけで完結し、到着後すぐ使えます。出発前に準備しておくのがおすすめです。
トリファ(trifa)で見る※対応機種・料金プランは変わる場合があります。最新は公式サイトでご確認ください。
海外旅行保険(エポスカード)
年会費無料で海外旅行保険が自動付帯するクレジットカード。医療費が高額になりやすい国もあるため、短期の旅行でも補償の確認をおすすめします。
エポスカードで見る※補償内容・付帯条件は改定される場合があります。最新は公式サイトでご確認ください。
旅の実務データ
現地で困らないための判断材料をまとめました。
通貨・物価
- 通貨
- ミャンマー・チャット(MMK)
- 為替目安
- 1MMK ≈ 0.077円
- 物価水準
- 非常に安い(日本の物価水準の10〜15%程度)
1 JPY ≈ 13 MMK(2026年7月時点目安。為替は変動するため渡航前に要確認)。国際カードがほぼ使用不可のため全支払いが現金(チャットまたは米ドル)となる。公定レートと実勢レートに乖離がある場合がある。
宿泊費の目安
- 予算宿
- 2,000〜4,000円/泊
- 中級ホテル
- 6,000〜12,000円/泊
外国人向けゲストハウスは$15〜30、中級ホテルは$45〜90程度が目安。ハイシーズン(11〜2月)は早期に満室になるため2〜3か月前の予約が安心。気球ツアーの手配を代行してくれるホテルを選ぶと効率的。
ライドシェア
× 利用不可Grabは2021年10月にミャンマーから完全撤退済み。2026年現在もバガン・ニャウンウーエリアで利用できる配車アプリは存在しない。タクシーはホテル手配または事前口頭交渉が唯一の選択肢。(状況は流動的)
インフラ
観光エリア内は基本インフラが整備されているが、停電・断水は2021年以降も断続的に発生。Wi-Fiは主要ホテルのみで接続速度は不安定。ATMは市内に数基あるが外国カード非対応が多い。国際送金・カード払いに頼らない現金持参の旅行計画が必要。
言語の通用度
観光業従事者(ホテル・ツアー会社・レンタルショップ等)には基本的な英語が通じる。屋台・市場・一般住民との会話は難しく、ミャンマー語フレーズや翻訳アプリが大変役立つ。
日本語が通じる場面はほぼなし。クーデター以降は日本人旅行者も激減しており、日本語対応スタッフのいる宿は極めて限られる。
向いている旅行者レベル
上級者向け(政情・インフラ不安定のため独立した判断力と情報収集力が必要。初めてのアジア旅行には不向き)
年間訪問者数
約5〜10万人/年(推定・2023〜2025年概算。クーデター前の2019年比で約90%以上の大幅減少)
混雑状況
- 平日
- 乾季(11〜2月)の日の出・日没時間帯は著名スポットで混雑。それ以外の時間帯は閑散としていることが多い。
- 休日
- 国内旅行者も大幅減少しており、週末特有の混雑はほぼ見られない。
- ピーク時期
- 11〜1月が最繁忙。シュエサンドー・パゴダの日の出直前は世界各国の旅行者が集中する。年末年始(12月25日〜1月5日)はとくに混雑しやすい。
更新ログ
- 2026-07-15初版公開